小宮コンサルタンツ代表
小宮一慶

対して小宮さんは、テーマ別にメモや資料を整理しているといえるだろう。

そんな両氏に共通するのが、読書メモの方法である。専用のノートをつくるのではなく、本に赤線を引き、感じたこと、考えたことを直接書き込んでいく。

「『読みながら線を引く』といいますが、それはちがう。読んで大事だと思うから線を引く。つまり線を引いた個所は2回読んでいるということ。一旦読み終わったあと、赤線の部分だけを追いかければ、その本のエッセンスが短時間で頭に入ります」と畑村さんは話す。

「読書とはディベート」。直接文字を書き込むことを躊躇せず、疑問点、湧いたアイデアをどんどんメモする(写真は小宮さんの蔵書)

また、本に自分の考えを書き込むのは「著者と議論をする」ようなもの。読書とは一種のディベートだというのが、畑村さんの考え方なのだ。

しかも、その“仮想ディベートの相手”と、後日、実際に会うこともある。『吉野家の経済学』の著者、吉野家の安部修仁社長と知り合いになった際は、畑村さんの書き込みに、安部社長本人が興味を示した。頼まれて本を貸し出したところ、「今後、自分が何をやるべきか、先生の視点から学ばせてもらった」と、感謝されたという。

(澁谷高晴=撮影)
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