県警は「茨城ダッシュ」という言葉の影響力を知っている

あっ、でも待てよ! 右折にからんだ事故が8割とありましたが、この右折ってそもそも茨城ダッシュなんですかね? 右折とはありますが、その中でも茨城ダッシュが直接の原因だとは誰も言っていないですね。

ここからは推測になりますが、われらが茨城県警のことですから、もっとも効率的、効果的な事故防止策は何かと熟慮した上で、茨城ダッシュの根絶を訴えることにしたのだと思います。事故を防ぐには、8割を占める右折の事故を減らすのが最も効果的。その右折への注意喚起として、全国的にも知名度が上昇している茨城ダッシュの名称を前面に出して呼びかけるのが最も得策であると。

その伏線といいますか、プレテストのような形で、県警は2021年にSNSで「茨城ダッシュは違反です」という公式のツイートを行っています。これには厳しい意見も多く寄せられたようでしたが、たくさんの「いいね」やリツイートを獲得し、ニュースでも取り上げられてかなり話題になったことは間違いありません。県警は、この一件で茨城ダッシュというワードの影響力の高さを実感したはずです。そして今回、満を持してなのか、やむを得ずなのかはわかりませんが、事故が増えたタイミングで茨城ダッシュ再活用へ打って出たのではないでしょうか。

もちろん茨城ダッシュは違反ですから減ったほうがよいですし、茨城ダッシュの名称を使うことで、右折の事故が実際に減るのであれば大いに活用するべきでしょう。ぜひ活用の前後でどの程度違いがあったのか数値化し、効果のほどを検証していただけたらと思います。

「茨城の人は交通マナーが悪い」と言われるとモヤモヤ

ところで、交通マナーや交通事故の話題になったときに、県民としていつもモヤモヤさせられることがあります。注意喚起やマナー向上の呼びかけは大いに賛成なのですが、マナー違反や事故の背景に何があるのか? という話になると、なぜかすぐ「県民性」が持ち出されるんですよね。つまり、「茨城に住んでるやつは民度が低いから運転マナーが悪いし、交通事故が起きるんだ。このごじゃっぺヤロが!」と言われがちなんです。つい興奮して茨城弁が出てしまいましたが、「ごじゃっぺ」=馬鹿者という意味です。

これについては、原因を突き詰めて調べていないか、調べてもよくわからないため、曖昧ともいえる「県民性」がいいようにスケープゴートに使われてしまっているのが実情かと思います。すぐ話題に乗っかって、自虐ネタで笑いを取ろうとする、お前ら茨城県民の日頃の行いのせいだと言われれば、それもけっして否定はできませんが……。