アプリで出会った女性たちは「キラキラ」していた
不倫を正当化する理由にはできないとはわかっていたが、絶えず不機嫌な妻とともに生活していかざるを得ない毎日に嫌気が差し、T也さんはマッチングアプリで出会う女性たちに逃げ込んだのだった。「これまで僕が出会った女性たちはみんな妻とは正反対で、仕事を持ちながらも小綺麗にしている可愛らしい人ばかりだった。そんなキラキラした彼女たちと一緒にいると、『世の中には素敵な女性がこんなに大勢いるのに、なぜよりによって妻と結婚してしまったのだろう』と思い、結婚したことが悔やまれてなりません」
「もっといいパートナーがいる」願望を捨てきれない
このように、20代、30代における不倫の最近の傾向としては、「マッチングアプリで出会った相手と不倫関係になった」ということがある。なぜ、この世代はマッチングアプリに出会いを求めるのか。どうやらその理由のひとつとして「ひょっとして、今のパートナーよりもっとフィットする相手がほかに存在するのではないか」という願望を捨てきれない“若さ”があると、私は推察している。
人生100年時代、まだこれから長く続いていく人生だとしたら20代、30代はほんの入り口にすぎない年齢だ。そこで出会った人とこの先60年以上も添い遂げる覚悟があるかどうか。「はたして本当に今の相手でいいのだろうか」と心がぐらついた時、身近にあるマッチングアプリを活用して自分の気持ちをたしかめようとしても不思議ではないだろう。
もちろん、その結果今のパートナーより価値観の合う人が見つかったとしても、「だったら、新しい相手とやり直そう」と舵を切るのか、「それでもやはり今の相手と暮らしていこう」と思い直すのかは本人次第。大切なのは、自分の下した決断に対しては誠実に努力し、幸せになろうとすることではないだろうか。