新しいことにチャレンジする

これは、ニーチェが設定した「子どもの時代」です。「獅子の時代」を通り過ぎて、さらに自由な境地で遊ぶ。老境とはむしろ子どもの頃に回帰していく時代だと考える。

そういう意味で、あえて新しいことにチャレンジしてみましょう。

私の場合、コロナ禍で全授業を年間通してオンラインでやることになりました。

始める前は、効果に疑念もありましたが、操作を学んでみると、便利に使えるようになり、幅が広がりました。

SNSも人間関係を広げたい場合、始めてみるのも一手です。始め方が分からなければ、子どもでも誰でも、思い切ってやり方を聞いてアカウントを作ってみてください。

今は、映像で相手の顔を見ながら話ができます。離れている子どもや孫の顔を、リアルタイムで見ながら話ができる。

私たち60代が子どもの頃、未来にはテレビ電話で人とつながれるなど、半分は夢のようなこととして語っていたはずですが、今や現実になっているのです。

そして、気難しい顔をやめてみる。目を輝かせている60代、70代というのはとても魅力的です。好奇心のセンサーを張り巡らせて、新しいことにチャレンジしてみましょう。SNSが性に合わなければ、「優雅な孤独」を楽しみましょう。

写真=iStock.com/stnazkul
※写真はイメージです

YouTubeで新しい世界を知る

「こんなにも自分の知らない世界があるのか?」と、私はYouTubeを観ることで感じています。

いろいろ掘り起こしていくと、昔の映像でも、「え? こんなのあったの!」という「お宝映像」に出会えます。それだけでも発見、心がウキウキしてしまいます。

先日も思いがけず出会ったのですが、『夜のヒットスタジオ』で、松田聖子さんが小坂明子さんの「あなた」を歌っている映像がありました。ピアノ伴奏は作詞作曲をした小坂さんご自身です。

聖子さんがサビの最後で、感極まって歌声が詰まってしまう。そんな感情の破れを目の当たりにできる映像で、危うくもらい泣きするくらいでした。

私はもともと聖子さんのファンでしたから、CDもほとんど持っています。松本隆さんと松田聖子さんについて語り合ったこともあるくらいです。でも、『夜のヒットスタジオ』で、そんなシーンがあり動画が残っているなんて知りませんでした。

ですから、YouTubeは決して若者だけの楽しみではありません。私たちの世代が昔の「お宝映像」を発掘できる楽しみもある、貴重なサービスだと思います。

そうかと思うと、とてもテレビでは流せないような深刻な映像もあります。

先日観たのは、父親が母親を殺す現場を見てしまったという当事者(息子)の方のインタヴューでした(街録チャンネル)。

淡々と語っているのですが、まさに地獄でしょう。これほどつらい体験は普通ありません。

あぁ、この方の過酷な人生に比べたら、自分の人生はいかに恵まれて、平穏無事だっただろうか。今からでも、世の中に対してできる恩返しをしていきたいなと、謙虚な気持ちになれます。