社会保障支出をケチることこそ、将来にツケを回す行為

社会保障支出を削減(あるいは増加を抑制)し、財政再建を優先するという方向は、日本の進むべき道とは思えません。

少子高齢化社会で人口に減少圧力がかかる状況では、全人口の減少より、労働力人口の減少のほうが速く進行します。そのため労働需給が引き締まり、賃金や物価に上昇圧力がかかるため、少子高齢化は根本的にはインフレ的な側面があります。

にもかかわらず、日本経済はいまだにデフレ的な環境が残っています。

会田卓司・榊原可人『日本経済の新しい見方』(きんざい)

それは、マクロ経済の状況を見極めることなく、財政再建にとらわれ過ぎた政策の結果だと考えられます。

高齢化による日本衰退をあおることで、企業の活動意欲が低下し、生産性向上のための投資を抑制してしまいます。その結果、将来の日本がインフレになりやすくなる可能性もあります。

家族・子ども向けの公的支出をケチっていれば、出生率の上昇や一億総活躍社会の実現はありえないということを、もっと強く認識する必要があるでしょう。

財政再建を優先し必要な投資を怠るほうが、本当の意味で将来世代へツケを回すことになるのです。

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