水溶性と不溶性の食物繊維がどちらも豊富
まず注目したいのは食物繊維の豊富さだ。ごぼうに含まれる食物繊維が100グラムあたり5.7グラムに対し、納豆(糸挽き納豆)には6.7グラムが含まれる。
大人のダイエット研究所代表理事で管理栄養士の岸村康代氏は「水溶性と不溶性の食物繊維がどちらも豊富に含まれていることが珍しい」という。
「腸の前半、中盤、後半で、発酵して腸内環境に影響を及ぼす食物繊維が違います。納豆には大豆オリゴ糖という水溶性食物繊維と、大豆の皮の部分に不溶性食物繊維が多く含まれ、水溶性食物繊維はコレステロールの排泄を助けたり、血糖値の上昇を抑えたり、腸の前半で発酵しやすいとされています。そして不溶性食物繊維は、便の水分を保つなど排便を助ける効果が期待できます」
腸内で有益菌(いわゆる善玉菌)が食物繊維を食べると、短鎖脂肪酸を生み出し、肥満を防ぐ作用がある。
「本来は腸のどの場所でも短鎖脂肪酸をつくり出せるのが理想です。不溶性・水溶性の両方の食物繊維を含む納豆であれば、腸全体に働く可能性があり、ダイエットをはじめさまざまな健康美容効果があるでしょう」(岸村氏)
低カロリーなのに、タンパク質も十分に取れる
次に、「AGE蓄積防止」で前述した大豆レシチンも肥満防止に働く。
「大豆レシチンは脂質代謝を改善したり、小腸でのコレステロール吸収を抑えます。また大豆イソフラボンも悪玉コレステロール低下作用があり、相乗効果で肥満改善が期待できるでしょう」(望月氏)
そして低カロリーであるのに、良質なタンパク質を肉なみに取れるという点でもダイエットに向いている。
「100グラムあたりの納豆は190キロカロリーで、タンパク質は14.5グラム含まれています。同量の豚バラ肉ですとタンパク質が12.8グラムで、カロリーは366キロカロリーも。その上、納豆の脂質は3分の1以下で、タンパク質の代謝に関わるビタミンB6、脂質の代謝を助けるビタミンB2もしっかり取れます」(岸村氏)
ちなみに納豆には「若返りのビタミン」として有名なビタミンEも含まれ、肌や血管の老化を防ぐ。