AGEが蓄積されるほど、病気になりやすくなる
これまで魚から、野菜ジュース、ヨーグルト、納豆、アイスまで、健康や美容にいい選び方・食べ方を伝えてきた。今回は体に悪いとされがちなのに、意外とそうでもなかったというユニークな研究を取り上げたい。
その前におさらいになるが、老化する・しないという視点で食を考えた時、体内で老化を促進する悪玉物質「AGE」が発生するかどうかが鍵になる。AGEが多量に発生し、骨に蓄積すれば骨が老化して折れやすくなり、肌の奥にAGEがたまれば、コラーゲン繊維の機能が低下して硬い皮膚になったり、シワが刻まれやすくなると前回までに述べてきた。
老化の促進にとどまらず、AGEが蓄積されるほど、病気になりやすく寿命が短くなることも多くの研究で報告されている。
そして体内でどういう時にAGEが発生しやすいか? といえば、血液中に糖がたくさんある=血糖値が高い時だ。熱を加えることで糖とタンパク質が結びついて変性すると、「糖化」=老化現象が起きる。この時、AGEも発生してしまう。
急激に血糖値が上昇すると、AGEが発生する
「ですから糖、要するにいかに炭水化物(主食)を管理するかが重要なんです」
と、同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター客員教授の八木雅之氏が説明する。ちなみに炭水化物は主に「糖質+食物繊維」で構成される。メカニズムの話が続くが、後半につながるので、もう少しお付き合いいただきたい。
「私たちの身体の約16%はタンパク質でできています。脳や内臓、神経を含め、体のあらゆる部位を作る上でタンパク質が欠かせません。またエネルギー源である糖も必要。つまり体内ではタンパク質と糖が共存する状態にあるのです。適度に糖を摂取し、代謝している分には問題ありませんが、多量に摂取してしまうと……。人の体温によって体のタンパク質と余分な糖が温められ、糖化現象が起きてしまいます」(八木氏)
誰しも食事をすれば血糖値が上昇し、膵臓から分泌されるホルモンでブドウ糖を細胞の中に取り込ませる。しかし、急激に血糖値が上昇しすぎたり過剰に糖分を摂取すると、その働きが追いつかず、血液中に糖があまって高血糖状態になる。それが糖化現象を起こし、老化の元凶であるAGEを発生させるということだ。