商社とコンサルでは人材育成のアプローチが違う
近年、東大生に人気なのは、外資系コンサルである(図表4参照)。
2022年の大学院生を含めた就職先では、1位のアクセンチュア(53人)のほか、4位マッキンゼー・アンド・カンパニー(40人)、6位PwCコンサルティング(34人)、25位EYストラテジー・アンド・コンサルティング(15人)が上位に入っている。
2021年は上位10社のうち、1位アクセンチュア、6位PwCコンサルティング、7位マッキンゼー・アンド・カンパニー、8位デロイト トーマツ コンサルティングと外資系コンサルが4社を占めている。
総合商社は以前から人気が高く、毎年、三菱商事、三井物産、住友商事などが就職先の上位に入っている。ただ、2016年以降は大学院生を含めた就職者数で上位10社に入らなくなった。三菱商事は、2011年は1位(41人)、2012年(39人)と2015年(37人)はともに2位だったが、2022年は16位(21人)に下がっている。外資系コンサルに流れている面があるようだ。
外資系コンサルの人気の背景には、仕事は激務でも自分の成長を感じられることや、高い目線で業界を見られること、給与水準の高さや人脈が広がることなどがあるようだ。コンサルの仕事をステップに、起業やキャリアアップを目指す学生も少なくない。時間をかけてじっくりと優秀な社員を育てる日本型の総合商社とは、人材育成で異なる点がある。東大生にとって「格好いい」業種が近年はここにあると言えるだろう。
人気だった金融業界は上位10社にも入らない
増加が目立つのが、情報・通信である。
楽天グループは2020年から上位10社に入るようになり、2020年7位(27人)、2021年4位(32人)、2022年3位(44人)と上がっている。先に触れたように、学部生では2021年から連続1位だ。ソフトバンクとヤフーも2020年あたりから上位に入ってくるようになった。ソフトバンクは2020年20位(18人)、2021年10位(23人)、2022年6位(34人)と順位も就職者数も伸びている。
2022年は20位にファーウェイ、2021年は10位にアマゾン ウェブ サービス ジャパン、25位にアマゾンジャパンと外資系の情報・通信会社が入っているのも変化を表している。
金融・保険は、業種別の就職者数では最多を維持しているが、メガバンクを中心に数は減っている。2007年は、1位みずほフィナンシャルグループ(82人)、3位大和証券グループ(38人)、6位野村證券(32人)、8位に三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行(各27人)と、上位10社のうち5社を占めていた。しかし、2022年では上位10社にはどこも入っておらず、11位三菱UFJ銀行(25人)が最上位になっている。