新卒でベンチャー企業に就職するのも珍しくない
製造業は、就職者数が減っている。2007年は上位20社に、2位日立製作所、5位東芝、7位トヨタ自動車、12位に三菱重工業と富士通、15位キヤノン、17位ソニー、20位NECの8社が入っていたが、2022年は2位ソニーグループ、5位日立製作所、9位富士通、14位の中外製薬と富士フイルムの5社に減っている。
製造業が復活するかどうかは、日本経済の行方を左右する。「トップクラスの学生が行きたい産業に製造業が位置できるようになること」ができるかどうか、そのために生産性を上げられるかどうかが重要になる。
東大生の目指す進路や意識が変わってきたのは、日本社会や経済の環境の変化が背景にあるのだろう。就職先のランキング上位には、まだ規模が小さいスタートアップは出てこない。しかし、最近の東大生はスタートアップのインターンに参加することが普通になり、そのまま就職したり、有名企業に就職しても数年で退職してスタートアップに移ったりする卒業生が出てきている。
東大で長年、起業家教育を担ってきた各務茂夫・東大大学院工学系研究科教授は「学生たちの周りに東大関連スタートアップがたくさんあるので、スタートアップとかベンチャーとか言っても、学生は驚かなくなっている」と言う。東大生や卒業生の価値観がこの10年余りの間に大きく変化していることは間違いない。
東大生たちの価値観の変化は、就職先や進路だけにとどまらない。東大の現在を深掘りすると、定型化された「エリート志向」に疑問を持つ学生や卒業生が、進んでその『レール』から外れるようになっていることがわかる。