「既に危険な対策はだいたい済んでいます」

果たして安全性は高まっているのか。周辺の人に話を聞いてみようと思ったが、まず通行人がいない。そこで、たまたま通りがかりにあった岡山市南区役所で話を聞いてみた。

対応してくれた職員は「市役所のほうでも話を聞かれたと思いますが――」といって、こういったのである。

「既に危険な対策はだいたい済んでいます」

担当者によれば、既に調査によって洗い出した用水路の危険な箇所は、ほぼ対策が済んでいるというのだ。いま、柵がないのは、さほど危険性が高くない用水路なのだという。

岡山市内だけでも用水路の総延長は膨大だ。ゆえに、傍から見て危険そうなエリアも、普段から用水路を目にしていれば、さほど危険ではなく見えてくるのではなかろうか。

もうひとつ、危険に晒されている住民のほうも必ずしも柵を設けることに賛成していないという事情もある。先に話を聞いた岡山市役所道路港湾管理課はこう話すのだ。

「道路幅の狭いところではクルマの通行に不便になると柵の設置に反対されているところもあります。それに、柵があっても落ちる時は落ちますしね」

出典=「用水路等転落事故対策ガイドライン」岡山県(令和2年3月)