ヒップホップ主体の音楽性がアメリカで受け入れられた

彼女たちの音楽スタイルが、K-POPガールズグループの中では珍しく「ヒップホップ」を基盤にしている点も、アメリカで強い人気を博している理由だ。彼女たちの音楽に絶対的な影響を及ぼすプロデューサーのテディは、ロサンゼルス出身の韓国系アメリカ人。1990年代にヒップホップアイドルグループ「1TYM(ワンタイム)」のラッパーとして活動したが、プロデューサーに転職し、BIGBANGや2NE1の楽曲を手掛けてYGを代表するプロデューサーとなった。

テディはヒップホップとR&Bをベースに、ハウス、EDMなどを加えた楽曲でアメリカの音楽界でも反響を得ている。2021年にビルボードが選定した「21世紀の優れたプロデューサー50人」に名を連ねている。

このリストに載っているK-POPプロデューサーは、彼のほかにはSMエンタテインメントの代表プロデューサーであるユ・ヨンジンだけだった。BLACKPINKの音楽が特にアメリカで人気を得て、レディー・ガガをはじめとする多くのポップスターたちがコラボを要請する背景には、テディの存在が大きく作用している。

「男性に依存しない独立した女性」を表現している

だが、世界の少女たちがBLACKPINKに熱狂する最も大きな理由は、彼女たちが「堂々とした女性」を象徴する存在であるためだろう。大衆文化評論家である大邱てぐ大学のキム・ホンシク教授はBLACKPINKが「主体的でありながら、同時にファンが共感できる音楽を作り出す唯一無二なガールズグループ」と評価する。

「歌やパフォーマンスだけが優れているわけではなく、楽曲のプロデュースにも積極的に参加するなど、能動的に自分たちの音楽世界を構築していく。彼女たちの音楽には『絶望や悲しみの中でも自分を失わず堂々と生きていこう』という意味の歌詞がたびたび出てくるが、このようなメッセージが世界の若者に受け入れられているのだ」

男性の「ファンタジー」ではなく、女性の目線で女性を描く現象はここ数年の韓流ドラマの重要な流れとなっている。BLACKPINKはK-POP界でこのような流れを先導しながら、「男性に依存しない独立した女性」をクールに体現し、世界中の少女たちのロールモデルとして君臨しているのだ。

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