向井万起男さんによる女性宇宙飛行士研究
日本人初の女性宇宙飛行士である向井千秋さん(医師・現東京理科大学副学長)は、世界では26番目の女性宇宙飛行士だ。彼女の夫である向井万起男さんが出版した『続・君について行こう 女房が宇宙を飛んだ』(講談社+α文庫)によると、千秋さんを含む26人の女性宇宙飛行士の中で女医は6人だった(23%)のに対し、同時期の男性飛行士の医師率は約10%だったそうだ。
万起男さんは「社会的に差別されやすい属性の候補者でも、(医師のような)国家資格があるとチャンスを得やすいから」と分析している。同時に「米国でもアフリカ系に限定すれば女性宇宙飛行士の女医率は高い」とも指摘し、「女性宇宙飛行士における女医率の高さ」は、「資格がないとキャリア形成が難しい社会属性の裏返し」という考察を記している。
活動内容はイマイチの日本人女性宇宙飛行士
今回、筆者はJAXAで宇宙飛行を経験した11人の宇宙旅行日数について、男女別に平均値を求めてみた。宇宙滞在日数は「男性平均186日に比べて女性19日」で明らかに女性が見劣りする結果となっている。
男性宇宙飛行士9人のうち7人はロシア(カザフスタン)の宇宙基地からソユーズ宇宙船に乗ったミッションを経験しているが、女性2人の合計3回の打ち上げは全て米国のスペースシャトルによるものである。また、男性4人は船外活動を経験しているが女性はゼロである。
「最もハイリスクな仕事は女性にやらせるべきではない」という紳士的配慮かもしれないが、重要な役どころは女性には任せられないとの判断とも言える。これは、内閣の組閣時において、世論を意識して「ひとまず女性を飾っとくか」といった配慮で環境大臣に女性政治家が任命されるのと似ている気がする。ちょっぴり残念である。
2010年、山崎直子さんが宇宙飛行を達成してから13年が過ぎた。米田あゆさんのような優秀な女性が頭角を現せるなら、日本もまだ捨てたものではない。願わくば、彼女にはサブの役割ではなく真に重要なポジションを任せられる宇宙飛行士に成長して、宇宙飛行士における性差を小さくしてほしいものだ。