札幌発3泊4日の優雅な旅

「THE ROYAL EXPRESS」はリピーターが現れるほど、伊豆観光の旗手として成果を上げた。2020年からは夏季限定で「THE ROYAL EXPRESS~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」を始めている。札幌発の3泊4日の行程で、車窓から北海道の雄大な景色と食事、現地観光と宿泊を楽しむものだ。

2023年は7月から9月にかけて、以下の3プランが運行される。

●HOKKAIDO CRUISE TRAIN:札幌→十勝川温泉→知床→富良野→札幌(旅行代金:ひとり当たり82万~118万3000円)

●HOKKAIDO CRUISE LIMITED:札幌→十勝川温泉→阿寒摩周国立公園→阿寒湖→富良野→札幌(旅行代金:ひとり当たり82万~118万3000円)

●HOKKAIDO 日本最北端の旅:札幌→上川→宗谷岬→稚内→オロロンライン→富良野→札幌

今回の目玉と言えるのが「HOKKAIDO 日本最北端の旅」だ。その旅程は、まず札幌から旭川へ移動し、そこからバスで大雪山に近い上川の宿泊施設へ移動。2日目は旭川から一路北へ進み、南稚内で下車。バスで宗谷岬、稚内市街へ向かう。

3日目は絶景のドライブルートで知られるオロロンラインを経て旭川まで南下し、バスで富良野へ。4日目に札幌へ帰着する。旅行代金はひとり当たり88万円~123万円だという。

筆者撮影
車内では、北海道の食材を使った料理が提供される

なぜ北海道に遠征するようになったのか

なぜ中小私鉄の車両が、期間限定とはいえ、JR北海道の鉄路を運行するようになったのか。

きっかけとなったのが2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震だ。以降、2019年1月末まで震度1以上の地震が332回発生し、うち2回は震度5弱だった。これにより、北海道の観光客が減少してゆく。

JR北海道は、国土交通省から2014年1月24日と2018年7月27日の2回にわたりに受けた経営改善に向けた監督命令の着実な実施および、北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道観光活性化の両面から、早急に道内での観光列車運行を計画した。

ただ、JR北海道にそのような車両がないことから、観光に特化したジョイフルトレインを保有している道外の鉄道事業者に対して、「北海道内への持ち込みと期間限定運行ができないか」と協力要請を行った。

そこに東急が手を挙げた。「素晴らしい自然、大地、人の力が感じられる世界に誇れる観光地を活性化させるお手伝いができたら」(東急広報)という想いで、新たなプロジェクトを立ち上げたのだ。

国や北海道からは、今回のプロジェクトの実現に向けたバックアップを受けたことも大きい。JR北海道と東急は北海道の沿線自治体に対し、運行にあたって歓迎などの協力を要請した。

筆者撮影
1号車ゴールドクラスの車内