キャバ嬢が土下座を要求した理由
キャバクラではお客様も接客するキャバ嬢もお酒が入っていますから、些細なことがトラブルに発展するケースが後を絶ちません。
自分に非がなくても謝罪を要求されることがしばしばあります。
ある日、とてもご立腹されているお客様がいました。
責任者である私が呼ばれてお話を伺うと、高級ワインのオーパスワンを飲もうとしていたが、提供されないまま会計の時間を迎えたとのことでした。
キャバ嬢は言います。
「わたしはムラカミに注文を伝えたんですけどね」
そもそもこのテーブルは他の黒服が担当していたので、キャバ嬢が私に直接注文を伝えることはありえません。
他の黒服に伝えたかは定かではありませんが、状況から推測すると、酔っ払ったキャバ嬢が注文を忘れていたのだと思います。
続けて彼女は言いました。
「ムラカミさん、土下座したら?」
お客様はうなずきます。
「そうだな。土下座してくれる?」
そんなことで土下座するなんて……、とも思いましたが、仕方ありません。
「分かりました。では土下座しますので、お許しください。申し訳ございませんでした」