「差別は許されない」に拒否反応
LGBT法案の議論は、統一地方選挙で中断していたが、4月28日に自民党の「性的マイノリティに関する特命委員会」が開かれて再開した。
会議では、「反対派と賛成派の意見がまったく折り合わなかった」と明かすのは、特命委のメンバーで、超党派議連の会長代理を務める稲田朋美衆議院議員だ。
超党派で合意した案には、法の目的、基本理念に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものとの認識の下」という文言が加えられている。
「『“差別”という言葉を使うと社会が分断される』と主張する人がかなりいます。この法案は理解増進法なので、『差別を禁止する』とは書かれていないのですが、理念や目的に書かれた『差別は許されないという認識の下で』という表現が、差別禁止になっているというのです。広島のG7をタイムリミットにする必要はないという意見も結構多かった」と稲田議員は特別委員会での様子を語る。
「苦しんでいる当事者も多く、(カミングアウトしておらず)表立って要望したくてもできない人たちもいます。差別され、いじめや自殺などの不幸な出来事も実際に起きていますから、やはり基本法、理念法は必要です。理解増進法がある方が、国会できちんとした議論ができます」と稲田議員は話す。
地方議員に「稲田朋美に投票するな」
稲田議員が積極的にLGBT法に取り組み始めた頃から、右派系のメディアに「稲田朋美が左翼の餌食となった動かぬ証拠」「LGBT法案 稲田朋美の裏切り」などの批判記事が相次ぐようになった。2021年の衆議院選挙期間中には、「LGBT法案を推進する国民の敵稲田朋美には絶対投票しないでください」と書かれた文書が、稲田議員の選挙区の地方議員に送られたという。
「誰かはわからないのですが、法案を推進する私を選挙で落とそうとする人たちがいるようなのです。恐怖を感じるほどです」と稲田議員は言う。