「ザル入試」と化したAO・推薦が2010年代に激変

2000年代は、大学全入が進んでいき、相当数の大学でAO・推薦入試が簡単に学生を確保できる、ザル入試と化します。一方では、募集停止となる大学が注目されます。特に、2009年には5校が募集停止となりました。広末涼子さんの早稲田入学と中退、AO・推薦入試のザル入試批判などが合わさった結果、芸能人の大学進学の否定論が2010年代前半に完成し、現在に至っています。

ところが、この2010年代から大学入試が大きく変わりました。AO・推薦入試のバカ批判・ザル入試批判を受けてか、2011年、文部科学省は「要項」に「高等学校段階で育成される学力の重要な要素に留意」と記載します。さらに、2014年、中教審答申はAO・推薦入試について、「AO入試、推薦入試の多くが本来の趣旨・目的に沿ったものとなっておらず、単なる入学者数確保の手段となってしまっている」と批判。区分見直しを提言します。

この提言から、2021年以降、AO入試は総合型選抜、推薦入試は学校推薦型選抜と名称を変更。2023年現在、早稲田大学社会科学部・自己推薦入試や慶応義塾大学AO入試は大学の呼称であり、区分上は総合型選抜となります。2010年代はAO・推薦入試の内容や名称が変わっただけ、ではありません。2010年代半ばから首都圏の私立大では入試が激戦となりました。

推薦入試による入学者は1.5万人、AOは2.9万人増加している

理由は、23区内の大学新設規制(2019年)、定員管理の厳格化(2016年)です。特に後者は、2016年以降、従来の1.3倍から1.1倍が上限となりました。超過した場合は私学助成金のカットという罰則付きです。

私立大では入学辞退者を見越して合格者を多めに出す手法が使えなくなりました。そうなると、私大は合格者を絞り込まざるを得ません。その結果、一般入試は激戦となり、現役志向の強い高校生は一般入試ではなく、AO・推薦入試を志望するようになります。

出典=入学者選抜実施状況(図表=筆者作成)

文部科学省が出している「入学者選抜実施状況」の各年度版について、私立大学を集計したものがこの図表1です。

2013年と2022年で比較すると、一般入試(2021年から正確には一般選抜)による入学者は2万8000人、減少しています。

これに対して、推薦入試(学校推薦型選抜)による入学者は1万5000人、AO入試(総合型選抜)による入学者は2万9000人、それぞれ増加しています。文部科学省「入学者選抜実施状況」からは、一般入試からAO・推薦(総合型・学校推薦型)入試にシフトしていることが明らかです。