高いところに行けば、下界がよく見える

なぜ先に進んだほうがよいのでしょうか? それは、先に進めば、前に分からなかったことが自動的に分かるようになるからです。

山登りのとき、麓の山道では、視界が開けません。だから、面白くありません。登っていって視界が開けると、楽しくなってきます。

そして、頂上に行けば、山の周囲がどうなっているかを一望することができます。大げさに言えば、世界の構造がどうなっているかが分かるのです。

勉強も、これと同じです。あるところまで来れば、最初は分からなかった基礎概念が、どういう意味だったかが分かります。

論文も、全体が分かれば部分が分かる

論文や本を読む場合にも、全体を把握することが重要です。読んでいて分からないところがあった場合に、そこで引っかかってしまうのではなく、先に読んで、とにかく全体を把握するのがよいのです。

そして元に戻ってくれば、最初に読んだときに分からなかったところを理解することができるでしょう。部分を積み上げて全体を理解するのでなく、全体を把握することによって部分を理解するのです。

適切に書かれた論文であれば、結論を見れば、構造が分かります。難解だと思っていた論文が実はそうではなかったことが分かります(それでもよく分からないのなら、その論文が良くないのです)。

文学作品の理解でもそうです。全体を知らないと部分を理解できません。部分を積み上げて全体を理解するのではなく、全体から部分を理解するのです。