母親と同居に

実家を失った母親は、犬山さんの家で同居することになった。妹のアパートは、震災の影響で住める状態ではなかったからだ。

震災と同じ年、母親は腸閉塞を起こし入院。2カ月のリハビリを経て、犬山さんの家に戻ってきた。この頃の母親は、要介護2。デイサービスに週1で通い始め、ヘルパーには掃除や料理を頼んでいた。

8年後、89歳になった母親は、部屋で転んで大腿骨を骨折し、4カ月の入院。これをきっかけに要介護4に介護度が上がり、家の中でも手引きで歩く状態に。

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その後も手術するほどではないが、年に1回くらいの頻度で腸閉塞になり、1週間ほどの入院を繰り返す。

2022年は、腸閉塞と誤嚥ごえん性肺炎で3カ月入院し、退院した2カ月後にまた腸閉塞に。このときは救急病院に入院したため、本来なら1週間で帰されるところが、院内で2度も濃厚接触者になってしまい、1カ月間入院して転院。

ところが、この転院先の医師に犬山さんは驚かされる。娘である犬山さんの話などろくに聞かず、「(母親は)年だし、大往生でいいんじゃない?」と発言したからだ。しかも、その病院でも2度もコロナ感染者の濃厚接触者になり、退院が延びる。

その後、信頼できない医師を見限った犬山さんは、母親を自宅に連れ帰ることを決意。

「濃厚接触者になると隔離されてしまい、面会もできないし、リハビリが停止になるため、気をもんだ。こんなことなら家で看取ろうと思い、ケアマネさんや妹と相談し、例の医師に話して、母を家に連れて帰りました。医師は、『どうせ連れて帰ることなどできないだろうに……』という態度でした」