立地だけが原因ではない

まず、募集停止の報があってから、もっとも多くの人々が指摘していた立地の問題。恵泉女学園大学・大学院のキャンパスは、東京は東京でも西の外れの多摩市にある。最寄り駅は京王・小田急線と多摩モノレールの多摩センターで、周辺は映画館があるほど賑わっている。が、そこからキャンパスまで徒歩通学は難しく、スクールバスに乗って約10分の丘陵地帯。自然は豊かだけれども、近くに学生が使えそうな店はほぼない。

都心回帰する大学が相次ぐ中、たしかにこれは大きなマイナスだ。大学や学園もまっさきに移転を考えたことだろう。だが、それは学生総数1000人ほどの体力のない小さな大学にとって叶わぬ夢。系列の中高は世田谷区の高級住宅地にあって交通の便もいいのだが、すでに総数1200人ほどの生徒たちでギューギューだ。移転先にはならない。

なので、立地の悪さを指摘しても虚しいばかりである。それに恵泉女学園大学ぐらいのアクセス環境にあっても持ち堪えている同レベル大学はたくさんあるし、逆にJR山手線、都営地下鉄浅草線、東急池上線五反田駅から徒歩10分と好立地にある清泉女子大学が、大幅な入学定員割れを起こしてもいる。立地だけでうんぬんできない。

清泉女子大学(写真=Hykw-a4/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

受験生が魅力に感じる学部学科の構成になっているか

では、ハードではなくソフトの問題か。受験偏差値で下位層の受験生がそこで学んでみたいと思える、学部学科の構成になっているかどうか。

これは移転よりも現実性があるかもしれない。だが、現実的にできそうな改組はすでに恵泉女学園大学も終えており、それで人が集まらないのだから、もっと非現実的なぐらい思い切った大改革に踏み切るべきである。

とはいえ、小さな大学なのでゼロから新学部を立ち上げる体力はない。既存のものをどう改革すれば魅力的に見えるか。この大学は最終的に2学部4学科から成った。現状の内容はこうである。

・人文学部――日本語日本文化学科、英語コミュニケーション学科
・人間社会学部――国際社会学科、社会園芸学科