女子大の経営が揺れている。恵泉女学園大学が2024年度以降の学生募集を停止した一方、共立女子、昭和女子、津田塾などは学部を新設している。大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは「小規模の女子大ほど苦しくなる傾向が強くなっている。特に充足率60%未満の学部がある女子大の今後は厳しい」という――。
恵泉女学園大学キャンパス(写真=CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0/Wikimedia Commons)
恵泉女学園大学キャンパス(写真=CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0/Wikimedia Commons

歴史ある名門校でも入学定員充足率55.9%で募集停止

3月22日、女子大の名門校・恵泉女学園大学が2024年度以降の学生募集停止を発表しました。

1929年創立の恵泉女学園が前身であり、平和学・園芸学の研究でも有名です。近年では、大日向雅美学長が少子化問題の専門家として国会に専門委員・公述人として出席することでも知られていましたが、2022年度の入学定員充足率は55.9%と低い水準にありました。

恵泉女学園大学は募集停止に至った理由として、「18歳人口の減少、とくに近年は共学志向など社会情勢の変化の中で、入学者数の定員割れが続き、大学部門の金融資産を確保・維持することが厳しくなりました」と公式サイトで説明しています

少子化が進んでいることは確かであり、今年2月には2022年の出生数が80万人の大台を割ったことが明らかになりました。

その一方で、大学進学率は1990年の24.6%から2022年には56.6%と大幅に上昇しています。今後も修学支援における家計年収の要件緩和などで大学進学率はさらに10ポイント以上伸びる見込みです。

女子大でも、生き残りが十分に可能な大学と、恵泉女学園大学のように募集停止に追い込まれる大学に二極化していくことが予想されます。