生き残りの鍵を握るのは「共学化」「規模拡大」「都市部移転」
女子大の未来はどうなるのでしょうか。
2024年には北海道武蔵女子大学が新設されるなど、今後も新規参入はあります。
この新設校を含めた女子大66校のうち、20校程度は安全水域、5~15校程度は危険水域にあります。残る30~40校は中間層であり、今後、安全水域・危険水域、どちらに転ぶか分かりません。
時代のニーズにあった学部新設により規模を拡大していく、キャンパスを立地のいい場所に移転するなどの方策が考えられます。
あるいは、共学化も有力な選択肢となります。実際に2023年は神戸親和女子大学(現・神戸親和大学)、鹿児島純心女子大学(現・鹿児島純心大学)の2校が共学化しました。
2000年以降に共学化した大学の中では、武蔵野大学(2004年/旧校名は武蔵野女子大学)、文京学院大学(2005年/旧校名は文京女子大学)、京都橘大学(2005年/旧校名は京都橘女子大学)などが共学化だけでなく、学部新設による規模拡大やキャンパス移転もあって、成功しています。
充足率50%未満の大学は学部新設が困難になる
ただし、共学化は女子大が生き残る特効薬ではありません。2000年開設の広島安芸女子大学は2002年に共学化しましたが2003年に募集停止・廃校。音楽大学の名門だった上野学園大学は2007年に共学化するも、2020年には募集停止を発表しました。
2022年の志願動向を分析したところ、2000年以降に共学化した元・女子大学26校のうち、5校は恵泉女学園大学と同じ、危険水域にあります。
女子大の中間層(30~40校)が共学化をする際は、合わせて学部新設やキャンパス移転などの拡大策も検討することが求められます。
そして、危険水域にある女子大(5~15校)は打てる手が多くありません。文部科学省は2023年に、充足率50%未満の学部がある大学については学部新設を抑制する方針を発表しました。こうなると、危険水域にある大学は学生が見込める看護学部・医療系学部などを新設して収入を増やす方策が取れません。傷が浅いうちに他大学との統合や募集停止を選択することも必要となります。
冒頭でも述べた通り、このように女子大は生き残る大学とそうでない大学、この二極化で推移していくものと見られます。そしてそれは、女子大にかぎらず大学全般にいえることとなりそうです。
筆者註:本記事公開後の2023年4月17日、神戸海星女子学院大学が2024年度以降の学生募集停止を発表しました。同大は本記事中の図表にて、「危険水域」とした5校のうちの1校です。(4月17日17時00分追記/4月19日14時30分訂正)