田舎で暮らせば「体の声」が聞こえる

僕は20年ほど前から、現代の「参勤交代」ということを言ってきました。都会で生活している人たちが、1年のうちの一時期、田舎で暮らしたらどうかという提案です。田舎で生活すると何かと不便ですから、何でも自分でやらなければなりません。この不便さが非常に重要なのです。

都会にずっといると、ストレスがかかって気持ちが安定しません。身体的にも安定しないと思います。自分がどういう環境の中にいるときに一番調子が良いのか、みんなわからなくなっているのです。

かといって、外部の環境を勝手に変えるわけにはいきません。というより、現実にできませんから、暑かったらエアコンを入れてみたりします。それが当たり前になると、自分はそのほうが調子がよいと思うようになります。

子どもは自然寄りに暮らしたほうがよい

でもそれは、自分が調子がよいと感じる環境が本来はどういう状況なのか、自分で把握できなくなるということです。でも都会の環境と田舎の環境の両方を経験していれば、自分はどういう環境で安定するのかがわかるはずです。

僕は病院に行くべきかどうかは「体の声を聞け」と言っていますが、体の声を聞くためには、すべての道路が舗装された都会だけではダメで、田舎の不便な環境にも身を置いてみる必要があると思っています。

僕が子どもの頃は、いつも川で魚を捕って遊んでいました。水に入ると冷たいですし、風が吹いたり、カワセミが飛んでいたりします。自然の中にいると、さまざまな感覚の働きに気を取られて、あれこれ考えることがなくなります。

だから、今の子どもたちも、もう少し自然寄りに暮らしたほうがいいのではないかと思っています。

写真=iStock.com/Hakase_
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