子育ては計画してやらない
子どもも大人もですが、人は自然に接する時間をつくると、他人の顔色をうかがう必要がありません。薪割りとか畑仕事とか何らかの作業をしていると、そんなことを考えなくてもよくなるのです。
他人にどう見られているかというのは、意外に重たいものです。逆に五感をフルに働かせると、意識のほうが遠慮しますから、感覚が優位になっていきます。自然を相手にしていると、計画通りにしようと思っても、できないことがあることを学びます。
だから子育ても計画してやらないほうがよいのです。子どもなんてどうなるかわかりませんから、シミュレーションして計画通りに育てて、ある種の結果を出すみたいなことは、本来、子育てではできないことです。
自然にしておくことで、知らず知らずのうちに、1つの枠にとらわれない考え方が育っていくと思うのですが、いかがでしょうか。
先んじて「脱成長期」に入った日本
日本のGDP(国内総生産)は、この20年間、ほとんど増えていません。政府は増やそうとしていますが、何をやっても増えません。そこまでしても、成長できないということは、日本はとっくに脱成長期に入っていると考えるしかありません。
経済学者の水野和夫さんは資本主義が終わろうとしていると言っていますが、マクロで見れば、確かに資本主義は終わっていると思います。
その原因の1つが公共投資の抑制です。例えば田中康夫氏が長野県知事になったときの脱ダム宣言があります。大きな公共事業は環境運動の盛り上がりで猛烈な反対運動が起こるので、政治家はそれをあらかじめ予想して、結局やらなくなりました。
これは、本来であれば経済を押し上げるはずの公共事業に逆風が吹いたということを意味します。
ただ住民を公共事業の反対運動に向かわせているのは、環境保全の思想というよりも、自然を手つかずのまま残したいという漠然とした「空気」だと思います。その空気のおかげなのか、日本は先進国のトップを切って、脱成長期に入ったということだと思います。