持続可能な社会のヒントは「里山」にある

資本主義が終わった社会といっても、社会主義とはまったく違います。社会主義は脳が考えた政治体制だから、うまくいくはずがありません。

養老孟司、中川恵一『養老先生、再び病院へ行く』(エクスナレッジ)
養老孟司、中川恵一『養老先生、再び病院へ行く』(エクスナレッジ)

もっと小さい社会だったら、平等にするしかありません。いわゆる村社会です。村社会なら、1人だけお金を持っても意味がありません。

次の大規模な自然災害の後は、小規模なコミュニティーが無数にあり、それぞれが自立していくような傾向になればいいと思っています。

実際、江戸時代の庶民のコミュニティーはそうなっていました。

そこで持続可能な社会を目指すなら、やはり里山の自然を生かすということになるでしょう。

エネルギーの自給自足ができる「単位」で暮らす

持続可能性を考えるとき、エネルギーの自給自足が大事になってきます。

最近は、バイオマス発電所をつくった岡山県の真庭市とか、自前のエネルギーをつくる自治体が出てきました。それぞれが自立できる範囲でエネルギーをつくるのは里山の自然を生かすことにつながるでしょう。

その場合、県単位だとたぶん大きすぎるので、市町村単位くらいがちょうどよいと思います。

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