変な英語になる理由2.目的語が足りない
翻訳ソフトを販売している方によると、目的語が欠けている文章の英訳に一番苦労するそうです。前述したように、現在の機械翻訳ソフトは、主語が不足していても文脈から推測して補ったり受身形にしたりして訳すことができますが、目的語は文脈から推測しづらいことが多く、誤訳がより発生しやすくなります。
機械翻訳したら
例文では、「着々と進めて」と「予算に計上」の二カ所で目的語が省略されています。「着々と進めて」の箇所は、機械翻訳では、目的語を必要としない自動詞に置き換えられています。
普段の文章よりも意識して目的語を増やす
一方、「予算に計上」の箇所は、省略されている目的語を補うために、itが使われています。間に別の文が入っているため、この英文でitが指しているのが“digital transformation”だということを理解しづらい構成になっています。また、そもそも予算に計上するのは、「デジタルトランスフォーメーションを進めるための費用」でありデジタルトランスフォーメーション自体ではないため、itでの置き換えでは不十分です。
元の日本語を書き直すとしたら(二文目から)
目的語をそれぞれ補いました。
和文を作成した後、他動詞が使われていれば目的語が入っているかどうかを確認し、不足している場合は補ってください。
[例]「哲学的に考える機会が増えた」
心の中でのつぶやき:何を哲学的に考える機会が増えたのだろう? 人生? それとも物事?
前者の場合:「哲学的に人生を考える機会が増えた」