BBCの再検証番組の後も無言を貫く大手マスコミ

だがいま問題とされているのは、ジャニー氏が存命中かつ公取委の「注意」よりも前──つまり2019年7月以前のことだ。ジャニーズ事務所内でも芸能界でも、長年にわたってスターを志す若者たちの人生が破壊され続けた可能性がある。

大手マスコミ、とくにテレビはNHKも含めてジャニー氏の性的虐待をいまだに報じていない。新聞も朝日と毎日では外部執筆者による記事は掲載されたが、他紙はまだ触れていない。現在積極的なのは、この問題を長らく追い続けている『文春』以外では、筆者も執筆した『朝日新聞GLOBE+』とこの『PRESIDENT』、そして『FRIDAY』くらいである。

こうなるのは、テレビ局や出版社にとってジャニーズ事務所が重要な取引先だからだ。とくに民放にとっては、ジャニーズタレントがいなければ多くの番組が成立しない。

たとえば以下(図表)は、地上波テレビの夜の時間帯におけるジャニーズタレントの出演番組だ(4月第4週目)。レギュラー、ゲスト問わず、多くの枠にジャニーズが食い込んでいることがわかる。

図表作成=松谷創一郎