この4年でどんどん増えている“辞めジャニ”の動向に注目
このケースで注目しなければならないのは、“辞めジャニ”と呼ばれるジャニーズ出身者がそれらの競合グループに少なからず含まれていることだ。K-POP系のJO1やINIにひとりずつ、ジャニーズJr.時代にLove-tuneとして活動していた7ORDERの全員がそうだ。
さらに今後は、ジャニーズ事務所を退所予定のIMPACTorsや、滝沢秀明氏が立ち上げた新会社・TOBEのグループにも“辞めジャニ”が含まれる可能性は高い。なにより現在もっともその去就が注目されているのは、退所予定のKing & Princeの3人──岸優太・平野紫耀・神宮寺勇太だろう。ファンの多くが心配しているのは、退所後の彼らの活動が圧力や忖度で妨害されることだ。
これが、芸能界(業界)におけるジャニーズ事務所の支配の構造だ。
成功するために性的虐待を覚悟するというつらい選択
ジャニーズ事務所にとどまっても離れても、彼らにはつらい現実が待ち構えていた。これが二重の支配だ。
日本で男性アイドルを志すことは、こうしたリスクと常に隣り合わせだった。性的虐待を受ける覚悟をするか、それから逃げて芸能界で干されるか、あるいは売れないことを覚悟して最初から他のプロダクションで活動するか──選択肢はこの3つだ。
ジャニー氏の性的虐待が看過されてきたのも、ジャニーズ事務所の業界支配があったからこそだ。この問題は、ジャニー氏個人の問題ではなく構造的に読み解く必要がある。
もちろん、現在はこうしたリスクはかなり弱まった。ジャニー氏が亡くなり、公取委がジャニーズ事務所を「注意」し、そしてK-POPや競合他社などの選択肢も増えたからだ(もちろん『Mステ』のような“忖度”もあるが)。