「安いが質は落ちる」から「同価格なのに高品質」へ

そこでイオンのトップバリュに話を戻すと、実はこの1年でナショナルブランド商品よりも中身がいい商品が目立つようになってきました。

たとえば醤油のプレミアム商品の棚ではキッコーマンの「しぼりたて生しょうゆ」450mlが278円で置かれているのですが、そのすぐ隣に同じようなボトルに入ったトップバリュの450mlの醤油がやはり同じ278円で置かれています。しかし商品名は「オーガニック特選丸大豆しょうゆ」となっています。

これは従来のPB戦略とはちょっと違った売り方です。これまではサイズと品質が同じで価格が安いというのがPB商品の基本でした。しかしトップバリュのこの醤油はサイズと価格が同じであるにもかかわらず、品質がツーランクぐらい上を狙っています。

ここで商品名にうたわれている「オーガニック」つまり有機栽培の原料を使った食品というのは食品の世界では値段が倍以上するプレミアム価格帯の食品として人気があります。それを謳った食品が通常のナショナルブランド商品と同じサイズ同じ価格で出現しているのです。

写真=iStock.com/winhorse
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醤油や食用油の「高付加価値化」

実はこの売り方というのはとてもユニクロ的です。ユニクロではオーガニックコットンやカシミヤ製の商品が他社の普通の綿シャツやセーターと同じ価格で売られていて、そこからブランドイメージ向上に火がつきました。

別のトップバリュ商品を取り上げると、食用油の棚には味の素の「健康サララ」というコレステロールの吸収を抑える特保の商品が600gで398円で売られています。その横に同じ600g398円で置かれているのがトップバリュの「キャノーラ油ハーフ」です。

この商品はコレステロール0であると同時に、炒め物専用で、使う油の量が半分で済むように商品設計されています。仕組みとしてはパームから作られた乳化剤を含んでいることで、食材から出る水分と油が馴染みやすくなるように工夫されていて、だから油の使用量が少なくてもきちんと炒めることができるのです。

油を使う量が少なければより健康に配慮する生活ができますし、使う量が本当に半分にできればそのすぐ近くに置いてある日清キャノーラ油900g378円よりも実質的には安く買うことができると言えるかもしれません。おもしろい発想の商品だと思います。