著名ブランドとのコラボを続けるセブンプレミアム

さて、このような高付加価値PB商品の登場とトップバリュのユニクロ化がどう関係するのかを説明するために、もうひとつ別のトレンドを紹介します。それがここ数年のセブンプレミアムの進化です。

消費者が気づいているとおり、セブン‐イレブンのPB商品はすでにユニクロ的なブランドポジションを占め始めています。金のビーフシチューや有名ラーメン店とのコラボカップ麺などセブンプレミアムはここでしか手に入らない独自の高い価値を持っています。そして消費者もセブンで買い物をする際に「PB商品を買っているのを見られて恥ずかしい」などと感じることはありません。

消費者がユニクロでジル・サンダーの商品を買うように、消費者は「八代目儀兵衛監修のおにぎり」や「飯田商店のしょうゆらぁ麺」をプレミアム価値のある独自ブランド商品だと考えて購入しているのです。

ウォルマートはPBの売上増で好業績に

セブンプレミアムの弱点は、本来であれば一番売上数量を伸ばせるはずのスーパーの販路が小さいことです。グループ内のスーパーであるイトーヨーカドーが不振で閉店ラッシュが続いているからです。

この収益構造はイオンも同じです。イオンでは長らくスーパー部門は業績不振で、グループの利益はドラッグストア部門、金融部門とイオンモールの家主に当たる不動産部門が稼いでいます。

(4月12日に発表された2023年2月期決算発表でイオンは過去最高の9兆円超の売上を記録し、GMSとスーパー部門のトータルでは369億円のセグメント利益が出ました。本稿は2022年11月の第3四半期決算までのデータをもとに記述しており、その時点ではGMSとスーパー部門のセグメント損益はトータルで74億円の赤字でした。イオンは黒字化の要因としてPB商品の好調を挙げています。)

では小売業はもうからないのでしょうか? 実はそうでもありません。ビジネスの世界の潮流として儲かる小売業は製造販売型のビジネスモデルの中に増えているのです。ユニクロもそうですし、アップルストアもそう、通販で人気の青汁だってその形です。

そしてスーパーでも売上の中で製造販売型のPB商品の比率が増えれば増えるほど利益は増加します。その恩恵を一番受けていると言われるのがアメリカの小売最大手であるウォルマートです。ウォルマートは直近の業績が好調である最大の要因として、PB商品の売上が大幅に増えたことを挙げています。