小泉純一郎が好んだ酒

自民党の政務調査会調査役などを務めた田村重信は、『秘録・自民党政務調査会』(講談社)の中で「政治家は付き合いが良ければ大成するというものではない」と書いている。

人気の政治家ほど夜の誘いも多く、いくつもの会合に参加している政治家は今でも多いが、断る勇気も必要だと指摘する。

実際、橋本龍太郎や小泉純一郎氏は原則一晩にひとつの会合にしか参加しなかったと振り返っている。安倍晋太郎や渡辺美智雄が周りに気を遣いすぎて会合で体を壊してしまったのとは対照的だと述べている。

小泉純一郎氏(画像=首相官邸HPより)

小泉は別に酒が嫌いなわけではない。遊説の帰りの新幹線では常に日本酒、それもカップ酒を用意していたと田村は懐かしがっている。

毎晩一升飲んだ“剛腕”

剛腕とかつては呼ばれ、今でも議員職にある小沢一郎氏も会合での酒の少なさで知られる。小沢氏は東北の出身らしく酒には強い。学生時代から酒は日本酒、ビール、ウイスキーなんでもござれであった。

政治家になってからも、毎晩のように一升は軽く飲み干す時期もあったという。会合が終わってからも自宅で飲み直す酒好きだったが、1992年に狭心症で倒れて以降は酒との付き合い方を変えたともっぱらの噂だ。

「付き合いが悪い」と言われようと我が道をいく。人とも酒とも適度な距離を保つ。がっぷり四つで朝まで飲むような時代は遠い日の花火のようなものだろう。