「団塊の世代が元気」になれば「日本も元気」になる

日本の高度経済成長の原動力となったのは、何と言っても、団塊の世代です。

しかも、日本人の年齢構成でいちばん分厚い層も、団塊の世代なのです。それだけ、存在感がある世代と言ってもいいでしょう。実際、団塊の世代を含めて、70代、80代の世代は、日本社会の中で重要な年齢層と言えます。

この重要な年齢層が、ごっそりと意欲をなくして気分的に落ち込んでしまったり、閉じこもってしまったりすると、どうなるでしょうか。

日本社会全体が、元気をなくしてしまうのです。

かつて日本全体を活気づけた層が、元気をなくしてしまうのですから、考えてみれば当たり前の話です。まず、消費が激減します。人手不足もさらに深刻になります。都会であれ地方であれ、それぞれの地域が成り立たなくなるケースは無数に出てくるでしょう。

そして、活気がなくなって、寂しい国になってしまうのです。

逆に言えば、70代、80代の人たちが元気になれば、日本も元気になるのです。

プレッシャーをかけるわけではありませんが、70代、80代の人たちは、その意味では責任は重大です。

とは言っても、べつにムリに働く必要はありません。また、自分にその気がなければ、よく言われるように、地域の活動やボランティア、趣味や遊びのサークルにも入る必要もありません。

では、何をすればいいのか?

元気に町を歩いたり、ふらりとどこかに出かけたりする。それだけでいいのです。

顔見知り同士があちこちで出くわして、お茶を飲んだり食事をしたり、あるいは、連れ立って近所の居酒屋でお酒を飲むだけでもいいのです。

実際、そういう70代、80代がいる町は、にぎやかで活気があるものです。40代も50代も、70代、80代に負けじとばかりに、にぎやかに集まってきます。

と言うのも、そういう町なら、飲食店も居酒屋も、味には手を抜けないからです。70代はとくに味にうるさいのです。70代にそっぽを向かれて、店が流行らなくなれば、ほかの世代も寄りつかなくなります。

つまり、70代、80代が元気なかぎり、40代、50代の現役世代も張り切らざるを得ません。日本人の平均年齢が40代後半という時代、70代、80代の存在感というのは、突き詰めていくと、そういうことになるように思います。

現在、日本の中心の世代である40代後半の世代に「元気」を注入するのも、70代、80代の役目とも言えるのではないでしょうか。

さあ、元気よく、外に出かけてみましょう。

70代の格差「若く見える人」ほど年齢を気にしない

人間は何かを気にすれば気にするほど、そのことから逃れられなくなります。

悩みも不安も、すべてそう。

気にすれば気にするほど、見つめれば見つめるほど、気になるし、目につく。そして、気にすればするほど、その悩みや不安は日々大きくなっていきます。

うつになりやすい人には、とくにそういう傾向があります。何か気になることがあると、どうしてもそのことだけを考えてしまうのです。だから余計に、そこから抜け出せなくなります。

「年齢」についても、まったく同じことが言えます。

気にする人は気にするし、気にしない人はあまり気にしない。ただし、1つだけ言えることがあります。

70代でも、80代でも、若く見える人ほど、自分の年齢を気にしていません。

逆に言えば、老け込んで見える人ほど、自分の年齢をいつも気にしています。

昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、「お互い、もう70歳なんだよね」と真っ先に「歳ネタ」を口にするのがこのタイプ。いつも年齢のことを考えているし、話題にしているので、年齢よりも老けて見えるはずです。

和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)

「歳ネタ」を振られても、大して関心もないので、「そう言えば、そうだね」と、受け流すことができる人は、おそらく若く見えるはず。

つまりは、「歳ネタ」を話題にすればするほど、老けていくようなものです。

それもそうでしょう。

「歳ネタ」なんて、いくら話しても、何も解決しませんし、何のメリットもありません。

それどころか、「もう70歳なんだよね」などと話しているうちに、気分が沈んでくるので、どんどん老けていくわけです。

自分の年齢を気にする人と、気にしない人とでは、人生の質も変わってきます。

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