新たな規制の下では物件全体を貸し出すことが禁じられるだけでなく、ゲストの部屋に錠を設けることができなくなる。したがって、Airbnbに宿泊するゲストの立場からすると、見知らぬ家主と同一の家やマンションに寝泊まりし、プライバシーのための施錠も不可という条件となる。旅の疲れを癒やすべき宿泊施設として、ゲストが心からくつろげる環境になっているかは疑問だ。

Airbnbを選ぶ価値は薄れつつある

日本では2018年6月に民泊新法が施行され、グレーゾーンだった民泊ビジネスがひととき盛り上がりの気配を見せた。東京オリンピックでの来日が見込まれた大量の海外ゲストの受け皿としても期待されたが、ふたを開けてみれば五輪は無観客となり、利用は想定ほど進んでいない。

民泊新法では年間の営業日数に180日の上限が課され、オーナーにとって収益性に限界が出ている。必然的に1泊あたりの宿泊料を上げざるを得ず、安価な宿泊が売りだったAirbnbの利点は、ビジネスホテルの存在を前に消えつつある。

海外でも指摘されているように、あえてAirbnbを選ぶ価値は薄れつつある。ホテルであれば常に信頼のおけるフロントデスクが存在し、チェックインできないトラブルに巻き込まれたり、アプリ経由で面倒なメッセージのやり取りを迫られたりする不便もない。

写真=iStock.com/GoodLifeStudio
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住宅地にあるリスティングは近隣の騒音源となることもしばしばあり、ゲストとしてもあえて選択する動機は少ないだろう。もちろん豪華な邸宅の貸し切りなどグループ旅行に意義を発揮するケースもあるが、登録されているリスティングの多くがそのような個性ある宿というわけではない。

空き部屋や空き物件の活用というコンセプトでスタートしたAirbnbだが、数々のトラブルを前に、優位性の再確認が求められる厳しい局面に立たされている。

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