ホテルと比較して料金面での優位性が消えつつある。宿泊料とは別に清掃料金を払わされたり、退去時に掃除を課されたりするとなると、敬遠しがちなゲストが増えているのにもうなずける。
ホスト間で客の「奪い合い」が起きている
予約急減がこれらのホストだけの現象であれば、ホスト自身に悪いレビューが付いたなどの固有の問題が原因と考えられる。だが、稼働率の急減に直面しているのは決して一部のホストだけではない。
米インサイダー誌は今年5月時点ですでに、夏に向けて予約数の急下降が見込まれており、多くのホストたちがパニックになっていると報じている。
稼働率の急減は、必ずしもパンデミックのせいだとも言い切れないようだ。米フロリダ州にリスティングを構えるある男性は、インサイダー誌に対し、2021年の収益はパンデミック前よりも25%増の好調だったと語っている。その男性さえ、今年は大幅な減収を見込んでいる状況だ。
旅行需要が完全には回復していないことに加え、ガソリンの高騰で旅行を避けている世帯が多いことが響いているのだという。さらに致命的なことに、高騰する自宅の光熱費を少しでもカバーしようとホストを始める家庭が増えたため、同地域内にあるホスト間の競争が激化することとなった。
同誌は「新しくできた大量のバケーションレンタルがゲストを奪い合っている」と指摘する。競争力確保のためには宿泊料を引き下げざるを得ないが、そうすると高騰する光熱費が重くのしかかる。収益性は悪化する一方だ。
自宅の空き部屋を貸しているホストならダメージは少ないが、投資用に物件を取得したオーナーにとっては深刻な問題だ。住宅ローンを組んでまでAirbnb用の物件を購入したという米アリゾナ州の50代男性は、news.com.auに対し、「本当に胃が痛いです」と語る。春時点の予測として、4月も5月もおそらくは赤字になる見込みだと語っている。
リスティングが家賃高騰の引き金に
懐事情を心配しているのは、ホストだけではない。記事によるとオーストラリアには100万戸以上の空き家が存在するが、家賃は地域によっては1年間で20%も上昇している。家賃の高騰は、地域住民にとって切実な問題だ。この上昇傾向の一因として、Airbnbのリスティング数の増加が関与しているのではないかとの指摘が聞かれるようになった。
家賃高騰を解消すべく、厳しい規制を導入している自治体もある。ニューヨーク市はAirbnbのリスティングに対して全米でも有数の厳格な制限を設けていることで知られる。Airbnbを家賃高騰の原因とにらむ市は、対立姿勢を強めている。ニューヨーク・ポスト紙によると市は来年1月から、さらに規制を強化する。