「勝って当たり前」というプレッシャー
筆者は東京府中市でキャンプを張るオーストラリア代表チームと社会人の練習試合を見た。相変わらず楽しそうに野球をして走者が出ても進めずに併殺の山を築いていた。おおらかな野球ではある。
しかし、オーストラリアは前回大会の第1ラウンドで、先発の菅野智之(巨人)からデ・サンミゲルが2回に先制本塁打を打ち、日本に冷や汗をかかせたことを忘れてはいけない。
侍ジャパンは直前の強化試合でも、重いプレッシャーを感じながらプレーしている印象があった。第1ラウンドは実力だけで見れば「勝ち抜け当確」だが、試合は水物だ。先制を許し追いかける展開になれば、凡退を繰り返し相手に金星を与える恐れもあるだろう。
準々決勝で最も当たりたくない相手
これに続く準々決勝ラウンドは、台湾で行われる「プールA」の上位2カ国との対戦。主催国台湾、オランダ、キューバが有望とされる。
A組最強はキューバと目される。オランダと、地の利のある台湾がこれに次ぐ。
キューバは長くアマチュア野球世界一を誇ったが、選手のアメリカ亡命が相次いだために、代表の戦力は低下した。しかし今大会ではジョアン・モンカダ、ルイス・ロバート(ともにホワイトソックス)と亡命したメジャーリーガーも招聘。歴史的な雪解けといわれている。
また、昨年までソフトバンクの中軸打者だったジュリスベル・グラシアル、アルフレド・デスパイネもいる。
投手陣は、去年のNPBセーブ王ライデル・マルティネス、最優秀中継ぎ投手ジャリエル・ロドリゲス(ともに中日)、ソフトバンクのリリーフエース、リバン・モイネロとセ・パ両リーグを代表する救援投手が参加している。
準々決勝はA組1位とB組2位、A組2位とB組1位が当たる。日本はできればB組を1位通過してキューバ以外と対戦したいところだ。
韓国同様、台湾は日本戦には、眦を決して向かってくるだろう。台湾の主力は西武の野手・呉念庭(ウー・ネンティン)、楽天の投手・宋家豪(ソン・チャーホウ)、日本ハムの野手・王柏融(ワン・ボーロン)とNPB選手。勝手知ったる強みもある。日本は2013年第3回大会では、台湾相手に苦戦し延長10回の挙げ句、なんとか4-3で下した。
オランダもヤクルト時代にNPBのシーズン本塁打記録60本を記録し、一昨年までソフトバンクにいたウラディミール・バレンティンが中軸、パドレスでダルビッシュの同僚で、オールスターに3度出場したザンダー・ボガーツもいるなど打線は強力だ。