ベストメンバー=「WBC優勝」にはならない
第5回WBCは、開幕前から連日、メディアで大きなニュースとして取り上げられている。前景気は上々だ。
今年の日本代表、侍ジャパンは「史上最強」といわれている。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)とMLBでもトップクラスのメジャーリーガーが参戦しているうえに、令和初の三冠王の村上宗隆(ヤクルト)、同じく令和初のパーフェクト投手の佐々木朗希(ロッテ)、2年連続沢村賞の山本由伸(オリックス)、パの本塁打王の山川穂高(西武)と、投打で屈指の実績がある選手が参戦しているからだ。
これまではさまざまな事情で、参加できないトップ選手がいたが、MLBでも期待株のラーズ・ヌートバー(カーディナルス)も参加。今、日本でそろえることができるベストメンバーになったといえるだろう。2017年以来、6年ぶりのWBCは「満を持して、世界一奪還」と、チームもファンも思うのは当然だとは思う。
しかしながら筆者は全く楽観していない。これまでの大会とチームの陣容が違うのは、日本だけではないからだ。
メジャーリーグのスーパースターが参戦
最大のポイントは「MLBがWBCへの選手参加のハードルを下げたこと」だ。前回大会までもスター選手が何人かは参加していたが、特に投手は肩肘の故障を恐れてなかなか参加を認めなかった。
MLBのトップクラスの投手は、日本円で複数年計100億円前後の超大型契約を結んでいる。いわば球団の資産だ。その資産が、ペナントレースとは関係のない国際大会でケガすることがあっては困る、とオーナーたちは考えていたのだ。
しかし6年間のブランクを経た今年は、マイク・トラウトなどMLBを代表するスター選手がWBC出場に意欲を見せ、経営者もコロナ禍で観客数が激減する中、新たな市場開拓へ向けて前向きになったのだ。
だから日本にダルビッシュ有、大谷翔平の参加が許されたように、アメリカにはMVP3回のマイク・トラウト(エンゼルス)、昨年ナ・リーグMVPのポール・ゴールドシュミット(カーディナルス)、15勝投手のローガン・ウェブ、ワールドシリーズで優勝したアストロズのクローザーのライアン・プレスリーなど投打の一線級が参加する。