各国で「ダルビッシュ、大谷」級の大物が参戦

それ以上に評価が高いのが、ドミニカ共和国だ。昨年ナ・リーグのサイヤング賞投手のサンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、一線級先発のクリスチャン・ハビエル(アストロズ)、オールスター6回選出の名内野手マニー・マチャド、昨年新人王のフリオ・ロドリゲス(マリナーズ)などが出場予定だ。

ベネズエラやプエルトリコからも精鋭が出場する。つまり日本だけでなく、アメリカやMLBに有力選手を輩出している国では、「ダルビッシュ、大谷級」の大物が参加している。

つまり今回は各国ともこれまでとは異なる「本気モード」なのだ。

MLB首位打者3回の「小さな大打者」ホセ・アルトゥーベはベネズエラ代表として出場予定
MLB首位打者3回の「小さな大打者」ホセ・アルトゥーベはベネズエラ代表として出場予定(写真=Jeffrey Hayes/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

1次リーグ突破は楽勝とはいえない

しかし、こうしたアメリカ大陸の強力なライバルに相まみえるアメリカ、フロリダでの決勝ラウンドに進出する以前の問題として、日本代表にはいくつかの不安要素がある。

日本代表はWBC第1回、第2回大会あわせて韓国と合計8試合も戦ったが、初戦では苦戦した。ただ、相手のデータが蓄積するとともにしのぎ勝つようになった。

【図表】WBCにおける日韓戦の結果

こうした粘り強さは日本の強みではあるが、逆に言えば「未知の相手に弱い」ということにもなる。いけいけどんどんで挑んでくる初顔には苦戦する可能性もある。

さらにWBC独自のルールが侍ジャパンを苦しめそうだ。

縫い目が高くて不ぞろいのWBC公認球には、松井裕樹、宮城大弥らが適応に苦しんでいる。

今大会では、MLBと同様「ワンポイントリリーフ」(1人の打者のみ抑えることを目的として起用する救援投手)が禁止されている。中継ぎ投手が登板した際は、3人の打者と対戦するか、チェンジになるまで投げなければならない。NPBにはないルールで、たとえ打たれてもすぐに交代できないので、救援投手が立ち往生する事態もあろう。

延長11回以降で実施される「タイブレーク」にも不慣れだ。メジャーでは採用済みだが、NPB選手はほとんど経験していない。

DHで大谷翔平を起用するリスク

陣容でいえば、大谷翔平が「DH」に座り続けることで、守備が得意とはいえない選手が守り続けることもリスクといえる。左翼を守る予定のレッドソックスの吉田正尚の肩は不安材料だ。山川穂高も本来ならDH兼用で使いたいところだ。

さらに、中堅手の本職がいないことも気になる。鈴木誠也(カブス)の代わりに召集された牧原大成は昨年中堅を64試合守っているが、ユーティリティーで、本職ではない。

「接戦」になって、このあたりの「弱み」が露呈する可能性は否定できない。ゆえに、東京ドームで行われる1次ラウンドといえども、決して楽な道のりではないのだ。