半永久的な「水平リサイクル」を達成できるワケ

現在主流のペットボトルのリサイクル手法は、使用済みペットボトルを集めて砕き、「フレーク」と呼ばれる原材料にしたうえで洗浄し、それを溶かして再生品をつくります。この手法では不純物を取り切ることができず、次第に品質が劣化していくため、リサイクルできる回数には限度があるとされています。

一方、私たちは、使用済みペットボトルを分子レベルまで分解して不純物を除去し、再結合することによって、石油由来のものとほぼ同じ品質の樹脂へと再生しています。

これにより、これまで不可能といわれてきた、ペットボトルの半永久的リサイクルを実現したのです。

画像提供=JEPLAN
ケミカルリサイクル技術で、使用済みペットボトルの半永久的リサイクルを実現。

このケミカルリサイクル技術を用いた工場の商用稼働を行っているのは、把握している限り、世界でも当社グループだけのようです。

でも、技術開発が成功したとしても、それだけでリサイクル社会は実現しません。大事なのは、「みんな参加型」のリサイクルインフラをつくることなのです。

石油を採掘しなくても、自動車を走らせられる

そのことを実感したのは、2007年に起業し、1年間にわたる実験を繰り返した末に、綿素材の古着からバイオ燃料の製造に成功したときのことでした。

国内での繊維製品の廃棄量は年間100万トンにも達します。この大量の繊維廃棄物をリサイクルしてバイオ燃料にできれば、地下資源である石油を採掘しなくても、自動車を走らせたり、飛行機を飛ばしたりできます

世界中で起こっている戦争の悲劇は、地下資源の争奪で引き起こされるものが大半ですが、繊維廃棄物からバイオ燃料を製造できれば、そのぶんの地下資源を採掘せずに済みます。