3.困難に挑んできた人間性のストックがある

いつでも天職デキる人が持っている3つめのストック(積み重ね)が人間性です。

なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、ここで言う人間性とは単に優しいとか人柄が良いといった意味ではありません。むしろ、自分には厳しいタイプかもしれません。そもそも一般的な人間性と違って天職を引き寄せるための人間性は、困難に挑むことでしか得ることができません。したがって、身に付くまでにそれなりの時間はかかります。それでも一度身に付ければ、その後の人生を有利に運ぶことができます。

なぜ天職と人間性に関係があるのかと言うと、人は目の前の仕事が仮に天職であったとしても、人間性が未熟な時にはそのことに気づくことができないからです。困難な挑戦を繰り返して自分の弱さや限界を理解し、世の中の酸いも甘いも経験してこそ、自分にとって何が天職であるかにようやく気づけるようになるのです。

図表=筆者作成

逆に言うと、自分が未熟な頃の好きは本当の好きではありません。味覚や恋心と同じで自分の成長とともに好みは変わるのです。

実際私もNTTで新社会人を迎えたばかりの頃はITや通信が好きではありませんでした。またパソコンに触れたこともなく、得意どころか大の苦手分野でした。それが社内レポートや企画書の作成の必要性に迫られて仕方なく対応しているうちに、経験値がたまって徐々にできることが増えていきました。その結果、たまに褒められたり驚かれたりすると、それがモチベーションとなって成長の好循環が出来上がっていったのです。

天職は一つでなくてもいい

また、天職は一つでなくてもいいでしょう。私自身も通信会社の営業職からキャリアが始まり2回の転職を経て4つの会社を作りましたが、その間多くの紆余うよ曲折があった後に行き着いたのが今のイベント企画会社の経営とDXコンサルの仕事で、私にとって天職だと自信をもって言えます。それまでの茨の道を振り返ると今はあまりに幸せすぎて毎朝夢なら覚めないでと思うくらいです。

以上、年齢に関わらず天職が得るための秘訣ひけつをお伝えしてきましたが、お気づきになられたか、あえて「ストック」という言葉を使っているのは、日頃の積み重ねの大切さをより印象づけるためでした。天職は自分の特徴や強みを表す合わせ鏡みたいなものですが、そこにたどり着くには過去でも未来でもなく今どう生きるかが問われているのです。

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