若い世代の願いをきちんとリスペクトしよう
もうひとつ、子育てに対する日本の社会規範を変えていくことも大切だと思います。日本の各政党は、専業主婦モデルはもはや時代遅れで、共働き世帯が多数派になっていることを深く認識すべきです。何より、「結婚をして子どもを作りたい」「それもできれば複数」という若い世代の願いが、国の政策の中できちんとリスペクトされなくてはなりません。票田になる中高年層を対象とした政策が優先され、若い世代が政治にプレッシャーを与えにくい構造は、日本もアメリカも共通だとは思いますが……。
企業の管理職、さらにはもっと上の経営層が、子どもを持ち育てていく社員を勇気づけるような態度を取る必要もあるでしょう。人間が生きていく上で、周りから受け入れられているという感覚はとても大事だと思います。子どもを持つことで「職場の迷惑になる」「職場の規範から外れてしまう」という状況では、社員にとって出産や育児はハードルの高い選択になってしまいます。
聞き取り調査の中で多くの男性が、「自分より上の職階の人が育児休業を取ってくれれば、自分ももっと気軽に取れる」と語ってくれました。そうやって少しずつ事例を増やしていけば、ある一定の割合を超えたとき「それは当たり前だ」とみんなが感じるようになる。
社会規範を変えていくのはとても大変ですが、決して不可能ではないのです。