名刺入れやコーポレート・カラーまで緑に統一

同じ色のネクタイが2000本もあると聞くと、変わった人だなと思われるかもしれない。しかし、自分にとって験がいいものは、いくらあってもいいと思っている。ネクタイ以外にも、名刺入れ、カバン、カフスボタンなども、すべて緑で統一している。日本電産のコーポレート・カラーも緑だ。

自分にとって験のいいラッキーカラーを身につけたり、周りに置いたりしておくと、それだけで気分がいい。気持ちが良ければ、仕事への意欲もいっそう高まるのは当然のことだ。いいと思うものは、一途といってよいほど信じる。おかしな宗教を信じたりするつもりはないが、験を担ぐような類であれば、いくらそうしてもいいと私は考えている。

私が験を担ぐものには「方角」もある。運気の流れは方角とも関係しているからだ。たとえば私は、寝るときは枕を南にしている。妻は反対に北枕の方がいいといって、頭を北向きにして寝ている。つまり夫婦は寝室で、お互い逆さまに向いて寝ているわけだ。傍から見れば、きっとおかしな光景だろう。

出張でホテルに泊まるときも、南を頭にして寝る習慣は変えない。予約の際にはできるだけ南枕の部屋を取るようにしているし、もしベッドの向きがそうなっていなければ、わざわざベッドを動かして向きを変えている。常連になっているホテルはそのことを知っていて、宿泊する際には事前にベッドの向きを変えてくれるから、いつも感謝している。

日本電産の本社ビル玄関が「東向き」であるワケ

何故南の方角にこだわるかといえば、私が太陽を好きなことも関係している。南は太陽の光がもっとも強く射し込んでくる方角である。太陽は生命エネルギーの源であり、太陽の光を浴びることは、生きる力をいただくことである。私が好きな「緑」を育む力でもある。

だから、会社でも家でも、私の机は太陽の光がたくさん入ってくる南向きに置いている。グループ会社にある私の机も、すべて東か南に向いている。大学を出てから勤めていた会社では、刻々と変わる日の向きに合わせて机の位置を変えていたので、「ひまわりくん」というあだ名をもらったほどだ。

住宅でもビルでも、玄関の方角は南向きか東向きがいい。日本電産の本社ビルの玄関は、東に向いている。方角というものを軽んじるべきではないのである。

京都市南区久世殿城町の日本電産本社・中央開発技術研究所(写真=J o/CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0/Wikimedia Commons