妻の限界

年末の仕事を早々に片付けて、宮畑さんは母親と妻がいる信州へ戻った。年末から年始にかけて、20歳の娘も帰省。約10日間を母親と過ごした宮畑さんは、初めて自分の気が狂うのではないかと思った。

「何かを言うと文句ばかり返す母。言いたい放題、わがまま放題。この母に振り回されていてはこっちがおかしくなると思いました。私が知る母は料理がうまく、明るく楚々としていたのですが、まったく別人のような行動と発言の連発。私たちは、母は認知症ではなくて、精神に異常をきたしているのではないかと思いました」

宮畑さんたちは、認知症と統合失調症についての勉強を始めた。数日一緒に過ごして、妻が相当疲弊していることがわかった宮畑さんは、関西の妹にSOSを出した。(以下、後編へ続く)

関連記事
【後編:死を心待ちにする、読む】「早く死んでくれればいいのに」家族が手を焼く認知症、統合失調症、鬱病の症状が出た母親の"想定外の病名"
「教祖写真や教団本が散乱し、ゴキブリが繁殖」信者の母親に一切頼らず高校大学の学費を払った女性の生き様
「床にドロドロに腐った野菜、冷蔵庫でゴキブリが凍死」67歳で父親他界後、パチンコ漬けの母親が"壊れた"ワケ
「父親の死亡保険金は俺のものだろ」瀕死の80代母親が「勘弁して」と泣くまで訴えた長男の"ハゲタカ行状"
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと【2022上半期BEST5】