政府要請ではなく、個々の企業がどう戦略を立てるか
それに伴い、新しいチップの製造、メタバースを支える新しいデバイスなど、モノづくりの重要性は格段に高まる。米国ではアップルなどが国際分業を進め、ソフトウェアの設計と開発により集中した。一方、ハードウェアの製造において、依然としてわが国企業は競争力を維持している。
そうした強みを高めるために、雇用や報酬の在り方を見直し、個々人の能力向上、実績をより良い形で評価することは不可欠だ。それは個々人により強い成長志向を植え付けるだろう。競争に対応することが難しい人のサポートのためにトレーニング制度なども強化される必要性は増す。
各社の経営トップがあきらめることなく改革を続けることは、わが国経済の成長期待に大きく影響するだろう。そうした企業の取り組みは、わが国の労働市場の流動性の向上、産業構造の転換などにも大きなインパクトを与える。足許、政府要請を背景とした賃上げ動向に注目が集まりがちだが、むしろ個々の企業の成長戦略の一環としてどのように人的資本の強化が図られ、新しい雇用制度が増えるかが注目される。