「利上げ」はインフレ率を下げる

【やすお】日本の購買力の低下は円安というよりも、物価安によるものだったんですね!

【永濱】最近は、一部の専門家が「円の価値を上げるために利上げをしよう」と言い出しています。しかし、実質実効為替レートを見れば、利上げなどもっての外だということがわかります。

なぜなら、物価インフレ率が低いために購買力が下がっているのですから、インフレ率を上げなければいけないのです。

インフレ率を上げるには「利上げ」と「利下げ」、どちらが必要ですか?

【やすお】利下げですね……。はい。

【永濱】そうなんです。もしここで利上げをしたら、さらにインフレ率が下がってしまい、より一層ひどい状況になってしまいます。

【やすお】円を強くするには円高にしなければいけない、と考えていましたが、そんな単純な話ではないんですね……。

購買力平価と「ビッグマック指数」

【永濱】物価が上がらないことで日本が厳しい状況になっているのは、「購買力平価(Purchasing Power Parity)」を他国と比較するとよくわかります。

【やすお】購買力平価?

【永濱】一言で言えば、「ある国である値段で買える商品が他国ではいくらで買えるかを示す交換レート」です。

たとえば、ある商品が日本では400円、アメリカでは4ドルで買えるとしましょう。すると、1ドル=100円が購買力平価だということになります。

購買力平価の一番わかりやすい例が「ビッグマック指数」です。

【やすお】ビッグマックって、あのハンバーガーの?

【永濱】そうです。ビッグマックは世界中で売っているので、ビッグマックがいくらで売られているかを比較すると、だいたいの購買力平価がわかります。

たとえば、ビッグマックが日本で、400円で売られていて、アメリカでは5ドルだとしたら、購買力平価は1ドル=80円ということになります。

写真=iStock.com/EllenMoran
購買力平価の一番わかりやすい例が「ビッグマック指数」(※写真はイメージです)