適切なレートは「1ドル=96円台」

【やすお】ふむふむ。でも、他の国と購買力平価を比べて何がわかるのでしょう?

【永濱】各国のモノを買う実力がわかります。もし購買力平価よりも為替レートが円安ならば、アメリカと比べて日本の購買力は低いことを意味します。

【やすお】なるほど。あれ? でも、物価と個別価格は違うって言ってませんでしたっけ?

【永濱】ご指摘通り、ビッグマックの価格はあくまで個別価格であり、物価全体で比べなければ正確な購買力はわかりません。

そこで、A国で売られている商品・サービスの全体を足したバスケットの価格と、B国のバスケットの価格を比べるのです。

それを計算したのが「絶対的購買力平価」です。

ちょっと、次のグラフを見てもらえますか? 米ドルと日本円の購買力平価を比較したグラフです(図表2)。

【やすお】これはどう見れば良いのでしょうか。

【永濱】まずは購買力平価をご覧ください。2020年の時点で1ドル=96円台です。為替レートも1ドル=96円でないと、アメリカと同じ水準の購買力にはなりません。

実際の為替レートがそれより円安だと、購買力が低いことになります。そう考えると……。

【やすお】為替レートは2022年11月時点で大体1ドル=140円だから、かなり購買力が低いということか……。

【永濱】そういうことです。ここまで円安なら生活が苦しいのは当然です。それだけ海外のモノやサービスの値段が上がっているから、日本の円も96円ぐらいにならないと、日本と同じ値段でモノが買えなくなっているわけです。