生活が苦しいのは物価下落によるもの

【永濱】そう。つまり、自国通貨の購買力を正確につかむには、為替レートだけでなく、物価上昇も加味する必要があるのです。

そこで、物価上昇を加味したものが「実質実効為替レート」です。

【やすお】なるほど!

【永濱】ちなみに、物価上昇を示すインフレ率格差を加味したものが実質実効為替レートです。一方、加味しないものが名目実効為替レート。この2つを比べると、実際の購買力がわかります。

【やすお】日本円の実質実効為替レートで見ると、円安だというわけですね。

【永濱】はい。それを示したのが次のグラフです(図表1)。何か気づきませんか?

【やすお】実質と名目でずいぶん違いますね。実質がかなり下がっています。

【永濱】その通り。名目実効為替レートは50年前の2倍以上円高になっていますが、実質実効為替レートを見ると50年以上前の1970年の水準まで下がっているのですね。

【やすお】その理由が物価というわけか。

【永濱】はい。物価の下落を示したのが、物価要因なのですが、これがものすごく下がっています。

数字にすると、物価が海外に比べて相対的に7割以上下がってしまいました。だから、購買力が下がってしまったのです。