下院議長も訪台時に「インド太平洋を守る」と明言
これに対してホワイトハウスの報道官は再び「台湾に関する米国の政策に変更はない」と繰り返した。米国は台湾に関する政策をこれまで曖昧にしてきたが、今回は明らかなファイティングポーズを貫いている。つまり、台湾有事の際には米軍は軍事介入すると認めたことになる。
それ以前の8月4日にナンシー・ペロシ下院議長(米国ナンバー3)が台湾を訪問し、民主主義と普遍的価値、自由で開かれたインド太平洋を守ると高らかに謳っている。そうしたことを考えると、バイデン大統領は歴代の大統領に比べても、台湾防衛への積極姿勢は突出していると言っていい。
日米は「台湾は中国の領土であることを認める」とは言っていない
台湾問題について考える際には、中国のいう「1つの中国」について考える必要がある。
日米にとっての「1つの中国」とは、
・台湾が主張する中華民国は中国ではない
・中国は中華人民共和国しかなく、中国が「台湾は中国のものだ」と言っている、その立場を尊重する
といった程度の認識に過ぎない。
1972年の日中共同宣声明の中には以下の内容がある。
このポツダム宣言第八項に基づく立場とは、台湾島の放棄を指している。
これからもわかるように、中国は台湾を領土であると主張し、日本は「台湾は放棄した。中国の言い分は分かった、その言い分を尊重しよう」というものに過ぎず、「台湾は中国の領土であることを認める」などとは言っていない。
基本的には米国も同じで、そのため、台湾に何かあったら介入するのは当然のシナリオなのだ。