アメリカもフランスも中国の海洋進出を警戒している

こうした新たな制裁の枠組みは、G7の取り組みに大きな影響を与えるだろう。

このまま中国の海洋進出を許せば、米国は台湾からグアムまでの海洋領土、太平洋のおよそ半分を失いかねない。

また、フランスの海洋領土の80%はタヒチ島などのある南太平洋諸国から成る。これらはフランスの重要な軍事拠点だが、中国は東部島嶼国にも手を伸ばし、フランスにとって脅威になっている。

こうした事態を受け、日本も動く。2022年6月、ソロモン諸島などの島嶼国に海上自衛隊の護衛艦「いずも」などを派遣し、中国を牽制。「いずも」の寄港地は、ソロモン諸島以外にトンガ、フィジー、バヌアツなどが含まれていた。

こうしてG7は太平洋の島嶼国へ目を向けている。防衛ラインは第2列島線であり、先の大戦で日本が米英から守ろうとした地域だ。70年以上の時を経て、日本は立場を替えて再び第2列島線を守る状況になっているのは、歴史の面白さと言っていい。

ホワイトハウスに火消しされても台湾問題に踏み込むバイデン大統領

さらに、米国のバイデン大統領も台湾問題にはかなり積極的に介入する姿勢を見せている。

台湾の地図に台湾とアメリカの国旗
写真=iStock.com/avdeev007
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2022年5月23日、東京で行なわれた日米首脳会談後の共同記者会見で「ウクライナの紛争には米国は軍事的に直接関わりたくない一方で、台湾を防衛するためには直接関わりますか」と記者に聞かれた際に「Yes」と明言した。「本当に?」と畳み掛ける記者に対して「そういったコミットメントを米国は示している」と付け加えた。

従来の曖昧戦略から一歩踏み込む内容とも取れるため、記者会見後、ホワイトハウスの当局者が「台湾政策に変更はない」と火消しに走ったのは記憶に新しい。

これで終わればバイデン大統領の勇み足で済んだが、9月18日に米CBSテレビのインタビューで、再度、踏み込んだ発言を行なった。「中国が侵攻した場合、米軍は台湾を防衛する」と明言したのだ。英語では以下のようなやり取りとなっている。

“But would U.S. Forces defend the island?”(米軍は島を守りますか?)
“Yes, if in fact there was an unprecedented attack.”(はい。実際に前例のない攻撃があった場合にはね)
“So unlike Ukraine, to be clear, sir, U.S. Forces, U.S. men and women would defend Taiwan in the event of a Chinese invasion?”(そうなると、ウクライナの場合と違って、はっきり言うと米軍、米国の男女は中国の侵略の際に台湾を守るのですか)
“Yes,”(はい)
※以上、CBSホームページから