すでに駅前一等地にはビックカメラ、ノジマ、ヤマダデンキといった家電量販店があるなかで、なぜヨドバシカメラの出店がダメなのか。理論構築はそう簡単ではないでしょう。それを含めてしっかりと法律、条例に整合性をつけていくのが法治国家の基本です。

フランス、イタリアなどでは、地区によって都市計画で業種業態、その出店店舗数を細かく設定するなどの場合があります。しかし日本にはそのような規制法、条例は現状ありません。

民間事業者は、大型店出店の内容に行政から口出しをされるとなれば、場合によっては商業出店事態を諦めたり、売っぱらって終わりの分譲マンション開発に切り替えたりすることも考えられます。個人財産権への制約という点からも、規制はそう簡単ではないのです。

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嘆願書は孫正義氏に送ったほうがマシだった

どうしても開発施設の低層階リーシングに口を出したいのであれば、豊島区が予算を組んで新たな商業施設の低層階を借り上げ、自分たちが考えるスーパーブランドを誘致すればよいわけです。

もしくは、西武池袋本店の不動産が売却されるのであれば、豊島区区役所と駅前商店会の関係者などの官民でSPC(特別目的会社)を設立し、買収すればいいのです。そうすれば正当なコントロール下に置くことができます。

いずれにしてもお金を払って望むようなものにするのであれば正当なプロセスになるわけです。根拠のある規制を考えるのか、予算を組んで自ら取り組むのか。豊島区議会で議論を行い、正当な手続きで民間企業に申し出るのが正当なプロセスです。自由で開かれた資本主義とはそういうものです。法的根拠がない中で、正当な投資をしようとする民間企業に対して行政がとがめるような姿勢は慎重を期すべきものです。

そもそもセブン&アイ・ホールディングスが、傘下の「そごう・西武」をフォートレスに売却することになった結果、ヨドバシと組むなどの新たな再生案が出てきています。しかしながら、区長の嘆願書の宛先は「西武ホールディングス」になっています。不動産の一部を保有するにすぎない西武ホールディングスにとっても困った話でしょう。

嘆願書には、フォートレスが米国ファンドであると書かれていますが、このファンドはソフトバンクグループ代表の孫正義氏が率いるビジョンファンドの傘下にあります。

さらにフォートレスはソフトバンクグループの業績悪化のために、別企業へと売却される方針となっているなど、激しくオーナーが変化しています。が、少なくとも現段階は、嘆願書の提出先は西武ではなく、孫正義氏としたほうが、意思決定のルートとしては正しいでしょう。