脱ゼロ・イチ文化。答えのないゲームの始まり
さっそくですが、問題です。
それも3つ!
何事もそうですが、ただ単に文字を読んでいるだけでは技術は習得できません。
無理やりにでも、答えをたくさん出すことが重要です。
量を絞り出すことによって、より技術を吸収でき、成長できるのです。
さて、示唆を3つ出せたでしょうか?
ファクトと示唆の違いとは
まずはさきほどの問題でよくある答えを3つ挙げておきましょう。
【よくある回答】
①この会社は成長している
②売上が伸びており、今後も伸びる
③この会社に投資しよう!
この中のどれがファクトでどれが示唆かわかるでしょうか?
①と②はファクトに近いけど、②の後半部分「今後も伸びる」はやや示唆が入っている気がするのではないでしょうか。
そして③はもっと示唆に近づいている感じがしませんか?
もう1つクイズを出しましょう。
【問題】①~③よりも示唆っぽい④を挙げよ。
①この会社は成長している
②売上が伸びており、今後も伸びる
③この会社に投資しよう!
④( )
当然ですが、ファクトよりも示唆に近づけなければなません。
「合っているかもしれないが、実際のところはわからない」というのが示唆です。
断言できてしまうことはファクトです。
例えば次のような示唆はどうでしょうか。
④この会社の人事制度は崩壊している
ここまでいくとファクトではなく、「ファクトから言えること」=示唆に近づいています。
しかしこの④も皆さんが出してくれたであろう示唆も、ファクトなのかそれとも示唆なのか、この境界を明確に示すことはできません。
ファクトと示唆は白黒はっきりさせられるものではなく、図表3のように「程度問題」なのです。
さきほどの④は徐々に示唆の“濃度”が濃くなっていると捉えられます。
示唆成分の“配合”が増えている、と言ってもいいでしょう。
この辺のニュアンスはなかなか難しいのですが、示唆はグラデーション、つまり割合の問題であると強く意識してください。
違う表現をすれば、ファクトは100人中100人が「そうだよね」と納得することといえます。
この視点でさきほどの選択肢を見ていきましょう。
①この会社は成長している
これはおそらくほとんどの方が「そうだよね」と納得するでしょうからファクトといえます。
②売上が伸びており、今後も伸びる
これはどうでしょう。
いやいやいやいや、そうとは限らないだろ。
という方が出てきそうです。
ましてや、「今後も伸びる」ためにはそのためのアクションやあるいはお金も必要です。
これはやや示唆に近づいていると考えていいでしょう。
③この会社に投資しよう!
ここまでくるとますます「そうだよね」と言う人は減ってくるので示唆寄りです。
では、ファクトが「100人中100人」が納得する事柄とすれば、そのファクトから導き出せる価値のある示唆は何人中何人くらいか、これをここでは「100人中3人」としておきます。
僕はこの「100人中3人」が「そうだよね」と納得する示唆をプラチナ示唆と呼んでいますが、それは本書で詳しく解説します。
その示唆を聞いただけでは「そうだよね」と納得しない人でも、説明を聞けば「なるほど、確かに」と納得するものが、ファクトから限界まで離れつつも示唆と認識される範囲というイメージです。
これを超えてしまうと、ただの「関係ないこと」になってしまうリスクが出てきます。
例えばさらに、このグラフから、「この会社は1年後に倒産する」までいくと「そうだよね」と納得する人が100人中3人未満となり、単なる「勘」となってしまう可能性が高いのです。