日本人でも世界的なグループを創造できる

つまり彼女たちは、フォーマットとしてはKポップなのですが、韓国語で歌うわけでも日本語で歌うわけでもなく英語で歌い、全員が日本人で、しかし韓国でデビューし、しかも現地のリスナーにも受け入れられたのです。それはやはり、メンバーの歌唱やダンス、そしてビジュアルのレベルが、Kポップとじゅうぶん張り合えるほど高いからです。

そもそも現在のKポップのグローバルグループには日本人メンバーも結構いるのですが、彼ら彼女らのレベルは非常に高い。だからこんな言い方も変かもしれませんが、日本人にだってKポップはやれるのです。

XGはひとつの実験としても、考え方としてもものすごく面白い。つまり、日本人でもKポップ的な、世界を見据えたグループを創造し得る、ということのひとつの証明になったからです。要は日本に、Kポップのような世界照準のコンテンツを育てたり、世に送り出したりするシステムがなかったのが問題だったのだ、ということを明らかにしたのがXGだったのです。

日本のアイドルとKポップの決定的違い

Kポップに拮抗きっこうし得るかもしれない存在を日本で見出そうとすると、一番可能性を持っているのは「ハロー! プロジェクト」だと思います。ハロプロのモーニング娘。やアンジュルムなどのグループは、ポテンシャルとしては世界商品になり得るし、実際に海外ツアーもしていました。しかし、新型コロナウイルスの流行でそれらの活動ができなくなったことで、「外」に向けての模索は失速してしまいました。

日本のアイドルによく指摘される問題が、いわゆる「接触」です。つまり、握手会とチェキをやらないと商売が回らない。コロナでそうした営業活動ができなくなったことで、一時は危機的な状況になった。

もちろん、Kポップにもファンサービスの側面はあり、ファンミーティングなどは頻繁に行われています。ただ、日本との大きな違いがあります。握手会やチェキのような、あからさまな接触商売みたいなことはほとんどない。これは、韓国がそうしたことに対して倫理的に厳しい文化があるからです。